「領域」を理解すれば上手くなる!低学年に伝えたいボールコントロールの基本

1. はじめに:なぜ「領域」なのか?
低学年の子どもたちにドリブルを教えるとき、いきなり細かいボールタッチやフェイントに入ると、混乱したり、うまくいかずに自信を失ったりします.
だからこそ、私はまず「自分の領域」という感覚からスタートします。これは、ボールコントロールや守備の基本になるとても大事な感覚です。
2. 「自分の領域」とは何か
「自分の領域」とは、手を横に伸ばしてぐるっと回ったときに届く範囲のこと。
つまり、「自分の体の周りで自由に動ける空間」です。
低学年でも「手を広げて一回転してごらん」と言えば、すぐにイメージできます。
この領域の中にボールがあるとき、人は自然とコントロールしやすくなります。
逆に、領域の外にあるとコントロールは難しくなります。
3. ボールをコントロールする=領域内にボールがある
子どもたちには「ボールをコントロールするってどういうこと?」と聞くことがあります。私の答えはシンプルで、
「自分の領域の中にボールがあること」
これがコントロールしている状態です。
まずはボールを遠くへ蹴らずに、自分の体の周りに置いておくこと。
足元に置くというより、自分の空間に置いておくという感覚を持たせると、扱い方が変わってきます。
4. ボールが外に出たときの考え方
練習中によくあるのが、子どもがボールを前や横に蹴って、それを慌てて追いかける場面です。
このとき、「ボールを戻そう」と思う子が多いですが、私はこう伝えます。
「ボールを動かすんじゃなくて、自分(領域)を動かして、ボールをまた中に入れよう」
つまり、自分の身体を動かしてボールを取りに行くという意識を持つことが大切です。
それにより次のプレーにスムーズに移ることができ、ボールを奪われるリスクが非常に低くなります。
ボールが領域の外に出たときの対策
ボールが領域外に出たときのために、ぜひ身に付けてほしい技術が二つあります。
① ルーレット
ボールが領域の外に出たとき、相手は「チャンス」と思って奪いにきます。
その時に一瞬で相手と入れ替わることができれば、形勢を逆転できます。
しかも、入れ替わった後にもボールは再び領域内にあるので、次のプレーにもスムーズに移行できます。
② アウトサイドターン
アウトサイドでターンを行うことで、相手との間に自分の身体が入り、奪われるリスクが低くなります。
これもボールを再び領域内に入れることができるため、安定して次の動作に移ることができます。
逆に避けたいプレーはインサイドの切り返しです。
特にボールが流れた方向の足のインサイドで切り返す場面はよく見られますが、これは次の一歩が出にくく、ボールが前方に流れてしまう可能性が高く、相手とぶつかるリスクも大きくなります。
5. 守備でも同じ!ボールを奪うとは「領域に入れる」こと
守備の場面でもこの考え方は活きてきます。
「ボールを奪う」というと、足を伸ばして無理やり取るイメージを持つ子が多いですが、私はこう伝えます。

「ボールを自分の領域に入れたら、それはもう自分のボールだよ」
つまり、自分の領域に入れ込んで、相手の領域からボールを引き離す。
これがボールを奪う、という行動の正体です。
これをきちんと定義してあげると子どもたちも理解しやすくなります。
ドリブルの時は相手の領域に入らないこと、ボールを奪うときは領域に入れること。
子どもたちには「領域と領域の戦いなんだよ」と伝えています。
6. ドリブル指導は「領域内の自由」から
ドリブルを教えるときも、最初に大切にしているのは「領域内で自由に触れること」です。
- 領域の中でいろんな場所にボールを動かす
- どこにあっても触れるようにする
- それに合わせて自分の体を動かす
こういった練習を繰り返していくと、「足技」よりも先に、自由にボールを扱える感覚が育ってきます。
領域内にボールがあるかどうかの評価ポイント
子ども達は、ボールが領域内にあるかどうかが分からないことがあります。
その時の評価ポイントとして私がよく用いているのが、
「シザーズできるか?」という視点です。
領域内にある場合は、ドリブルしながらでもとっさにボールをまたぐことができます。
逆に、領域外にある場合は遠すぎてまたぐことができません。
フリーでドリブル練習をしている時に、
「コーチが合図した瞬間にいつでもボールをまたげるようにしてね」
と伝えることで、常にボールを自分の領域内に置こうとする意識が育ちます。
それによって、ドリブルの精度と自由度が格段に高まります。
7. まとめ:領域の感覚が育つとプレーが変わる
「領域」という考え方は、低学年の子どもたちにとって直感的でわかりやすいものです。
まずはこの空間を意識し、自分のコントロールできる範囲を知ること。それを広げたり、素早く動かしたりすることで、ドリブルや守備のプレーが自然と良くなっていきます。
テクニックはそのあとでOK。
まずは「自分の領域を感じること」から始めましょう。