第5回 子どもが「楽しい!」と感じるサッカーに勝手に伸びていく〜楽しさが、努力を努力と感じさせない最大の原動力〜

はじめに
「練習をもっとやりなさい」「やる気が感じられない」
そう言いたくなってしまうとき、ありませんか?
でも、もし子どもが「サッカーって楽しい!」と思っていれば、言われなくても勝手にボールを触りに行き、試合を楽しみにし、自然と上手くなっていくものです。
今回は、「楽しさ」が子どもの成長にどれほど大きな力を持っているか、そしてその楽しさを守るために大人ができることについてお話しします。
子どもが自ら成長する“内発的動機づけ”
子どもが自ら動き出す原動力は、
「楽しいからやりたい」「もっと上手くなりたい」という内発的動機づけです。
これは、大人に言われたから仕方なくやる「外発的動機づけ」とはまったく違います。
たとえば:
- 試合でうまくいって、「もっとやりたい!」と感じる
- ドリブルがうまくなって、「またチャレンジしたい」と思う
- 友達とボールを蹴る時間が、「楽しくて仕方ない」と思える
こうした“ワクワク”があるとき、子どもは夢中になって取り組みます。
努力を努力と思わず、遊びのように吸収していくのです。
「楽しい」を奪うのは、善意のプレッシャー
しかしその「楽しい」が、大人のちょっとした言葉や態度で失われてしまうことがあります。
たとえば:
- 「なんでそんなプレーしたの?」
- 「勝てる相手だったのに」
- 「もっと気合いを入れろ」
これらは決して悪意ではなく、“良くなってほしい”という願いから出る言葉かもしれません。
でも、子どもにとっては評価されている、試されている、責められているように感じてしまい、「楽しい」が「怖い」「苦しい」に変わってしまうのです。
上手くなる子は「楽しい」を大切にされている
実際に、伸びていく子どもたちはこんな環境に身を置いています:
- 小さなチャレンジを「いいね!」と褒めてもらえる
- 成功や失敗に関係なく「楽しそうだったね」と言ってもらえる
- 上手くいかなかった日も「今日はどんなこと感じた?」と聞いてもらえる
つまり、結果よりも「楽しさ」や「意欲」を大人が肯定しているのです。
そうすると、子どもはのびのびとプレーでき、自分のペースでどんどん成長していきます。
保護者ができる「楽しさを支える関わり」
では、子どもの「楽しい」を守るために、どんな声かけや関わりができるでしょうか。
- 「今日はどんな場面が楽しかった?」
- 「あのプレー、楽しそうだったね!」
- 「ミスしてもすぐに切り替えてたね、すごいよ」
- 「前よりボールの持ち方がよくなってたね!」
こうした言葉は、子どもの自信と意欲を育てていきます。
“できた・できない”ではなく、“やろうとした気持ち”に目を向けることで、子どもの心に火がつくのです。
まとめ
「楽しさ」は、子どもがサッカーを続けていく最大のエネルギーです。
勝ち負けや評価にとらわれず、まずは「楽しい!」という気持ちを大切に育てていきましょう。
その楽しさが、やがて自主性を育み、技術を高め、人間的にも大きく成長していく原動力になります。
努力を強いるより、楽しさを守る。
それが、子どもを本当に伸ばすサポートです。
▶次回予告
【第6回】「勝ちたい!」は自然な気持ち。でも、そこにある落とし穴とは?
次回は、「子どもの“勝ちたい”を応援するために、大人が気をつけるべきこと」についてお話しします。