第7回 勝ち負けで一喜一憂する親の姿に、子供は何を感じてる?~子どもの“心の中”をのぞいてみる~

はじめに
試合に勝てば笑顔で拍手。負ければため息や不満顔。
そんな親の姿に、子どもは何を感じているのでしょうか?
「自分が頑張っても、勝たなきゃダメなの?」
「ミスしたら、また怒られるかも…」
子どもは親の言葉以上に、「表情」「態度」「空気感」から多くを感じ取っています。
今回は、勝ち負けに一喜一憂する親の姿が、子どもに与える影響について掘り下げていきます。
子どもは大人の“感情の波”を敏感に受け取っている
子どもは、大人の言動をよく見ています。
特に試合後、親の反応には敏感です。
・試合に勝ってニコニコしている親の顔
・負けた瞬間、苦い顔で迎える親の様子
・ミスをしたあと、遠くから飛んでくるため息
これらは、子どもにとって「評価のサイン」に映ります。
それが積み重なると、子どもはこう感じるようになります:
- 「勝たないと喜んでもらえない」
- 「自分の価値は、結果で決まる」
- 「チャレンジよりミスを避けるほうが大事」
つまり、結果中心の評価は、子どもの“プレッシャー”や“自己否定感”を生む要因になりかねないのです。
子どもが求めているのは「勝ち負けの評価」ではない
サッカーをしている子どもたちの多くが、本当はこんなふうに思っています:
- 「今日はいいプレーができたかな」
- 「頑張っていた姿を見てほしい」
- 「失敗したけど、チャレンジはすごかったよね?」
ところが、試合後に「なんであそこでシュート打たないの!」
「もっと走らなきゃダメじゃん!」と結果だけを指摘されると、
子どもの心は閉じてしまいます。
本当に子どもが求めているのは、結果ではなく“過程”を見てくれる大人のまなざしなのです。
子どもの心に響く声かけとは?
子どもにとって、「ちゃんと見てくれている」と感じられる言葉には力があります。
たとえば、こんな声かけをしてみてください。
- 「最後まで走ってたね、すごく粘ってたよ」
- 「あのパス、思い切って出してたね!」
- 「今日、守備のとき仲間にいっぱい声かけてたね」
これらは勝ち負けに関係なく、“姿勢”や“努力”を認める言葉です。
そうした言葉が、子どもの内側からのやる気を引き出します。
大人の感情が、子どもの価値観をつくっていく
子どもがサッカーを通して育む価値観は、親や指導者など、身近な大人の反応によって形づくられていきます。
・勝つことだけがすべてだと思うのか
・努力や挑戦に意味を見出せるのか
・失敗してもまた立ち上がろうと思えるのか
それは、大人の「視点」と「感情の扱い方」によって、大きく左右されるのです。
まとめ
親が勝ち負けに一喜一憂する姿は、無意識のうちに子どもへ“評価の基準”を伝えています。
その基準が「勝たなきゃ意味がない」になってしまうと、子どもはサッカーを楽しめなくなってしまいます。
大人が感情を整え、結果ではなく“取り組む姿勢”を認めること。
それが、子どもがのびのびとチャレンジし、自信を育んでいくために必要なことです。
▶次回予告
【第8回】「ちゃんとやって!」の前にできること〜大人の声かけが、子どものチャレンジを止めることがある〜
次回は、大人の善意の言葉が、実は子どもの意欲を削いでいるかもしれない、という視点から考えていきます。