第4回 負けたときこそ、子どもは一番成長する〜「悔しい」という感情が、子どもを次のステージへ押し上げる〜

はじめに
サッカーの試合で負けたあと、子どもが涙を流していた。
その姿を見て、「かわいそう…」と思ったり、「どう声をかけたらいいんだろう」と迷った経験はありませんか?
もしかすると、子どもが「負けたら怒られる」と感じてしまっていることもあるかもしれません。
でも実は、負けたときこそが、子どもが一番成長するチャンスなのです。
今回はその理由と、保護者としてどのように関わっていくべきかを考えていきます。
「負けたからダメ」ではなく、「負けたからこそ成長できる」
子どもたちは「勝ちたい」という純粋な気持ちを持ってサッカーに取り組んでいます。
でも、すべての試合に勝てるわけではありません。どこかで必ず、「負ける」経験をします。
この「負け」をどう受け止め、どう次につなげるか。
そこで、大人の接し方が大きな影響を与えます。
もし、負けたあとに黙り込んでいたり、涙をこらえている姿を見かけたら、それは「真剣に向き合っていた証拠」です。
そして「悔しい」という気持ちは、次に向かうための強力なエネルギーになります。
これは、大人が与える励ましよりも強く、長く続く、内側から湧き上がる原動力なのです。
「悔しさ」を大切にする言葉かけ
その悔しさを否定せず、肯定的に受け止める言葉をかけてあげるだけで、子どもは前を向く準備ができます。
たとえばこんな声かけをしてみてください:
- 「本気でやったからこそ、悔しかったんだよね」
- 「その気持ちがあるなら、次はもっと強くなれるね」
- 「悔しいって思えるの、すごく大事なことだよ」
悔しさは、努力してきたからこそ湧き上がる感情です。
その価値に気づかせてあげることが、大人にできる大切なサポートです。
結果ではなく「姿勢」に注目する
大人はつい、「勝った・負けた」という結果に目が向きがちです。
でも、子どもの成長においては、勝ち負け以上に「どんな姿勢で取り組んでいたか」が重要です。
なぜなら、結果はコントロールできませんが、姿勢や行動は子ども自身の意思で選ぶことができるからです。
たとえばこんな場面に注目してみてください:
- 苦手なポジションでも一生懸命にがんばっていた
- 最後まであきらめずに走っていた
- 仲間に前向きな声をかけていた
そうした行動のプロセスに光を当ててあげることで、子どもは「自分の努力を見てもらえている」と感じ、次の挑戦へと向かいやすくなります。
子どもが悔しさを乗り越えるとき、大人は「見守る勇気」を
ときには、負けたあとにふてくされたり、言い訳をすることもあるかもしれません。
でも、それもまた成長の一環です。
悔しさや葛藤と向き合う時間を、無理に奪わないであげてください。
すぐに正そうとせず、子どもが自分の中で整理する時間を持てるように見守りましょう。
そのプロセスの中で、「じゃあ次はこうしよう」と、自ら考える力が育っていきます。
そしてその気づきこそが、心の強さと自立の第一歩となるのです。
まとめ
負けることは、子どもにとって貴重な学びの機会です。
「悔しい」と思える心、それを次につなげようとする気持ち――
それらは、ただ「勝ったとき」よりも深く、強く、子どもを成長させてくれます。
泣いたあとの背中を、そっと支える。
その大人の温かい関わりが、子どもを強く、優しく育てていきます。
▶ 次回予告【第5回】
子どもが「楽しい!」と感じるサッカーに、勝手に伸びていく
〜楽しさが、努力を努力と感じさせない最大の原動力〜